何年も前、ここニューヨークで語学学校に通っていました。
そのとき、ある時期同じクラスだった人の中に、ウクライナ出身の男性がいました。
英語でいうユークレインってウクライナのことだ!
彼と最初、
「どこ出身?」
という当たり障りのない話になったときに、
「ユークレインだよ」
って言われて、その時、とっさにどこの国だか分からなかったんです。
ウクライナ出身の人と、その時、多分人生で初めて会話をしました。という言い訳をさせてください
そしたら、
「もう、また分かってもらえない…!」
みたいな反応をされてしまって。
申し訳ない。と思うと同時に、頭をもうフル回転させました。
で、「あ、確か Ukraine って書いて、日本語ではウクライナだ!」って奇跡的に思い出したんです。
「あー、ユークレイン!日本語ではウクライナって言うから、英語と発音が違ってとっさに分からなかったよ、ごめんね」
って言ったら、あーそうか、って納得してもらえました。
よかった
駐日ウクライナ大使館が出した、 「ウクライーナの地名の正しいスペルと使用法に関する公式ガイド」という文書。
それで「ウクライーナ」と呼んでくれと言っているそうですね。
彼には、「日本ではちゃんと(近い形で)発音するんだ」って知ってもらえたかな。
ちなみに、Українаと書くそうです。さっぱり読める気がしません。
ウクライナ人のクラスメート
それに、きっと、学校ではずっと目立つ存在でやってきたんだろうなぁという雰囲気もあって。
当時私が通っていた語学学校は、なんというか、授業料が安いのもすごく魅力というか、そういう学校だったので。
あんな人が、あの語学学校にいるなんて、ウクライナってどんな国なんだろう。ってなんとなく感じたのを思い出しました。
悲しいニュースもちゃんと目にして、現実を受け止めないとダメなのは分かってはいるんです。
だけど、ニュースをちゃんと見聞きするのに、私は今は少し疲れてしまってる時期で。
なので、ニュースをあまり熱心にはチェックしていません。必要最低限のことは知っておこう、くらいのスタンス。
だからよく分かってはいませんが、なんとなく、ウクライナの大統領は聡明そうな印象を受けています。
だけど。
あんなふうに何でもありの大国に目をつけられて、狙いを定められたら。果たして逃れる術はあるのだろうか。
と思わずにいられません。
どんな国がどんなふうに考えて行動してくるか分からないから。日本も他人事ではないかもしれないと思うとこわく感じます。
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ウクライナのニュースに触れるたびに、彼はどうしているかな、と思います。
他にも会ったことのある、ウクライナ出身の人たちもそう。
あの背が高くてすらっとして、美人で、でもとても気さくで話しやすかった彼女も、キエフ出身。
たまに見るFBで近況を知るくらいですが、こちらで結婚して今もニューヨークに住んでいるはず。
最近、彼女のFBのプロフィール写真が国旗になっていたのを見て、泣けました。
たったいま、遠く離れた自分の国が侵略されているなんて。心が張り裂ける思いです。
言葉にすると軽くなるけれど、それでも、彼らみんな、そのご家族友人たちも、無事でいることを心から願っています。
と同時に。
ロシア出身のクラスメートが、悲痛なポストをしていました。彼女もこちらで結婚して、まだニューヨークに住んでいるはず。
痛烈な批判を書いていたわけではないけれど、苦悩が痛いほど伝わってくる文章で、こちらも泣けました。
事情は全然分からないけれど、SNSでちょっとしたことでも何かを書いて、国にいるご家族は大丈夫なのかな。
声をあげたいという勇気はすごくて、自分が同じ立場になった時、果たしてできるものだろうかと考えさせられました。
笑顔が消えたー考え方は本当に様々という現実
そういえば。その語学学校で好きな先生のクラスを取っていた頃に、クリミア半島のことがニュースになったときがありました。
あのときは、同じクラスにロシア出身の人が何人かいて。
先生に意見を聞かれた時に、肯定する人あり、否定する人もあり。
肯定の意見を聞いて先生が、え、そういう意見もあるんだ、っていう反応をしていたのを鮮明に覚えています。
そして、その国、その場にいないと分からない感覚もあるのだろうか、と感じたことが今も忘れられません。
受けてきた教育とか、環境とか、やっぱり大きいのかな。とは思うけれど。
のんびり島国の田舎で育ってきた私には、あまり分からない感覚もあるのかな。
たまたま見たインスタで、「ロシア出身の彼女、ウクライナ侵略のことを聞かれたら笑顔が消えた。」という文章から始まる投稿がありました。
ロシア出身の若い彼女、付き合っている人がウクライナ出身なのだそうです。
彼の両親はウクライナを去らないので、彼も彼女もとても心配している。
ただ、うちのお父さんのように、侵略を喜んでいる人もいる。
父親は、私がウクライナ出身の人と付き合っていると知ると、traitor (裏切り者)と言った。
とにかく、争いが一日でも早く終わって欲しい。
そんなことが書かれていました。
どんな環境で育って、どんな教育を受けたとしても。
若く、考え方も柔軟な人が、もっと広い世界を知ったら、気付くことがたくさんあるかもしれない。
より広い価値観を手に入れたり、自分たちの国を客観的に眺められるようになったり。
そういうことから、世の中がいい方向へ変わっていく力が生まれたりするかな、ってぼんやり想像しました。
まとめ
ユークレインっていう英語を聞くと、いつも、語学学校の彼との会話を思い出します。
そして、テレビで見るだけ、ニュースを聞くだけ、ではなくて。
ただただ本当に、現実に、ピリピリした感覚、生死を身近に感じる感覚と隣り合わせで生きている人たちがこんなに身近にいるんだ、
ということを心に留めておこうと思います。
そして、平和ってありがたいんだな、と心から思います。
とにかくわたしは何より平和に過ごしたいし、彼らもそうできることを祈っています。