子どもが3歳になり、ニューヨークで幼稚園に通うことになりました。
が、うちは夫も私も日本育ちの日本人。海外の幼稚園がどんなものなのか、さっぱり分かりませんでした。
どうやって探したらいいのかも分からないし、どうやって申し込みをしたらいいのかも分からない。
NY市では無償化が進んでいるとフリーペーパーで読んだけれど、もしも無料でなければ授業料はどれくらいかかるのだろうか。NYはすごく高いと聞いているし、そしたら3歳からは通わせられないのかな。
コロナの影響もあって、うちの子は人と接することに慣れていなし、それなのにいきなり英語環境に放り込んで大丈夫だろうか。
そんなふうに、心配なことや分からないことも多かったのですが、それでもなんとかなった、幼稚園3Kの一年間。
この記事では、
- 入園前に不安だったこと
- 気になっていたこと
- 実際にはどうだったのか
について振り返っています。
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通い出す前と実際のところ
通い出す前に不安だったこと、実際はどうだったのかについてまず書こうと思います。
本当に無料で通えるの?
2022年の時点では
NY市では、3K for All という政策があるというのは、なんとなく目にしたことがありました。
それで3Kの無償化が進んでいるらしい、という程度しか知らなかったのですが、本当に無料なんだろうか?と調べてみたところ。
2019年生まれの子どもが2022年の申し込みをする時点では、
- 申し込んだ人がみんな無料で入れる district/学区
- みんなが無料で入れるわけではない district
があるらしい、と分かりました。
うちが住んでいる場所は、申し込みをする時点では、まだ全員が無料で入れるわけではない district でした。
NY市の説明会で、
3Kについて、今は、申し込みをした全員が入れるとは限らない。
と言っていたのは、こういうことだったようです。
割り当て数のこと
全員が無料で入れるわけではない、ということについて。
今回、この記事を書くにあたって改めて調べてみると、
- 裕福層が多い地域は、無料の割り当て数が少ない
- 割り当て数が少ないので、ウエイト・リスト待ちになる人が多い
一方、
- 貧困層が多い地域は、無料の割り当て数が多い
- 申し込む人は割り当て数よりも少ないので、シートが結構余っている
という問題が起こっているようです。
参考:
Why New York’s neediest families aren’t using free pre-K and 3K
3-K for All? Adams Retreats From Expanding N.Y.C. Preschool Program.
ALL ABOUT 3-K FOR ALL AND PRE-K FOR ALL
To illustrate the demand mismatch point - attached are the top 10 neighborhoods with open seats & the bottom 10.
— Nathaniel Styer (@necs) September 22, 2022
There is a significant difference between these two groups. For the mom on the UES, there are seats available... just elsewhere. We are trying to bring balance here. https://t.co/3eHU9MbKNP pic.twitter.com/Ioen49mwka
例えば、上にあげたニューヨーク・タイムズの記事に出てきた、アッパー・イースト・サイド(マンハッタンにある富裕層が多い地域の1つ)の2人の子どものお母さん。
3Kに申し込んだものの、ウエイト・リスト288番などという結果だった。ということは、無料の3Kに通わせるのは無理。
デイケアに、もう年間 $80,000(今の1ドル140円換算だと、1,120万円!) を払わなくて済んだらいいなと思っていたのに、と書かれていました。
上のポリティコの記事でも、NY市では、高いところでは月に $3,500 かかると書かれています。
前に、とある私立の付属幼稚園の学費を調べたことがあるのですが、そこは確か年間6万ドル(1ドル140円換算だと、840万円)でした。ブルックリンの外れの方にある学校でしたけど。
マンハッタンの有名なところとかだと、きっともっとするんでしょうね 。なんて全然知らないで話してます。
うちが住んでいるのは全然高級な地域じゃないのですが、それでも、1年通った近所のスクールへ夏休みに預けるとしたら、1ヶ月1,700ドル程度(1ドル140円換算で、約24万円)と言われました。
夏休みは無料ではないので。
それを違う地域に住む友人に話したら、安いねってびっくりしてました。
うちの結果と3K for all
さてそんな、本当に行けるのかもよく分からない無料の3Kに、まず申し込むだけ申し込んでみました。
結果、うちはどうだったか、というと。
第一希望はウエイト・リスト入り (30番目くらい) になりましたが、第二希望のスクールには無事に入ることができました。
というわけで、無事、1年間無料で行かせてもらうことができました。
1年間家で過ごすより、たくさんのことができるようになり、いっぱい成長してもらえたので、本当にありがたかったです。
上で紹介した3つ目の記事によると、Pre-K for all と 3K for all はデブラシオ前市長の政策だったようです。
彼はあまり評判がよくなさそうでしたけど、私の理解があっているのなら、この点ではすごくいい市長さんだなと思ってしまいます。
聞いたところでは、その前のジュリアーニ市長が、すごく良かったんですよね。私がNYへ来たときの市長がデブラシオさんで、日本と比べると彼もいい政治家に見えると感じてしまいましたが、まぁそれはいいとして…。
朝食と昼食も無料
ちなみに、朝食や昼食も無料で出してもらえるので、本当に無料で通うことができます。
*NYCの学校では、朝食と昼食が無料でもらえます。
Students attending school in person will be offered free breakfast and lunch daily in school.
ー NY市のサイト より
夏休みも、子どもは朝食と昼食を無料で受け取れるという制度があります。
悲しいことにNY市は貧困の差が激しい、という事情もあるのかなと思います。
参考:Free Summer Meals より、
New York City Department of Education's Free Summer Meals program is designed to provide children and young adults with a healthy alternative to junk food. The Free Summer Meals program provides free breakfast and lunch at schools, parks, pools, libraries, and food trucks in all five boroughs.
Breakfast and lunch are available for all children ages 18 and younger and all people with disabilities, regardless of age, who participate in special education programs.
** No identification or application is required **
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外の人とあまり接したことがない
2019年生まれのうちの子どもは、コロナ禍で育ちました。おまけに、
- 親にあまりに知り合いがいない
- 親戚は、誰一人アメリカにいない
- デイケアなどにも、一度も預けなかった
- ベビーシッターさんに来てもらったこともない
- あと多分、子どもの性格もあるかも
そんな理由で、家族以外の人にあまり慣れていませんでした。
お砂場で遊んでいても、誰かが来ると、
と言うし、公園でも絶対に私の手を離さないし、そんな子でした。
なので、3Kではまず外の世界に慣れてもらうことを一番の目的として、通ってもらおうと思ってました。
1年間通った結果、先生が、
と言ってくれるお友達もできたようだし、先生のことも大好きと言ってくれるようになったので、嬉しく思っています。
英語できないんです…
できなくても大丈夫だよ
うちの子は、親が両方とも日本人。
上で書いたように、
- できれば日本語も少しはできるようになってほしいし
- 私は英語の発音に自信がないし
だから家の中では、ほぼ日本語でずっと過ごしていました。
ということは当然、英語が何も分からないまま幼稚園へ通うことになります。
いざ幼稚園が始まると思うとやっぱり親として不安になり、先生方や、同じような環境で育った知人などに「大丈夫かな?」と聞いてみました。
するとみんな口を揃えていうのが、
「まったく問題ないよ、すぐに慣れるから。子どもは吸収がほんとに早いよ。」
という言葉でした。
うーん、でもやっぱり心配ではありました。
いざクラスでは
担任の先生は、
と、食べる、寝る、お水、などなど、基本的なことの絵が描かれているカードを見せてくれました。
そういうカードを実際に使っていたのかどうかは、ちょっとよく分かりません。
が、最初は、
って言っていた子どもも (切なすぎました)、徐々に、言っていることがそれなりに分かるようになってきたようです。
学年の途中で、先生からも、
と言ってもらえるようになりました。
子どもも、
とも言ってくれるようになりました。
たくましくならざるを得ない状況で申し訳なかったですが、なんとか適応してくれて嬉しく思います。
面談時の思い出
とはいえ、やっぱり子どもは大変だったと思います。
忘れられないのが、3Kで初めて先生と面談をした時のこと。
先生と子どもが会話している姿を、そのとき初めてちゃんと見ました。
先生が子どもに話しかけて、子どもは先生の顔を一生懸命に見て、理解しようとして、うなずいたり声に出したりなど反応をして。
そんな子どもの姿と懸命な目を見たときには、涙が出そうになりました。
何を言っているのか全然分からない言葉を、こうやって幼稚園で一人でがんばって聞いてきたんだな、と。
大人の私でも、アメリカであるクラスに通っていた時、先生の言っていることが半分は分からなくて、みんな何に笑っているのか分からなくて、それだけでも大変だったので。
全く分からず通った子どもは、本当にがんばってくれたんだなと思います。
入園前に教えた英単語
ちなみに、【体験記】NYで幼稚園|3Kに申し込みから、入園までのこと に書きましたが、入園前に教えていた英語は、この3つです。
- おしっこ(pee)
- うんち(poo)
- お水ください(water please)
これだけは言えるように、教えておきました。
初めが肝心と思ってあえて英語を家で教えなかったおかげで、幼稚園で覚えて来てくれる英語の発音はすごくいいと思います。
私の発音学習が間に合って、子どもに教えられれば、それが一番良かったんですけどね。
一年通った結果
学年が終わる1ヶ月ほど前に、クラスを変えて先生も変わったにも関わらず、すぐに慣れてくれて。
新しいクラスでは、写真を撮る時に変顔をして先生を笑わせる、くらいのことはしていたようです。
シャイな性格なりに、英語の環境にも慣れてもらえてよかったです。
日本語の環境だったら、いくらシャイでも、もう少しコミュニケーションを取れていたかもしれないとは思うので、そこは親の都合で…ごめんね。
あと、子どもが通った3Kのクラスには、スペイン語しか話さない子どもがいたようでした。
と先生が教えてくれたお友達も、ずっとスペイン語でうちの子に話しかけてくれていたらしくて。
同じように英語が分からない生徒が何人もいる、という状況だったのは、うちの子にとってちょっとラッキーだったかもしれません。
入園前に買って用意したもの
話は変わりますが、次は入園にあたって用意した持ち物について書こうと思います。
うちの子が通った3Kでは、入園前に用意してくださいと聞いていたのは、
- お昼寝に使うシーツとブランケット
- それらを入れるボックス
それくらいでした。
*シーツとブランケットは、毎週月曜に持って行って、金曜に持ち帰ってました。お昼寝のことは、初めての3K in NY|幼稚園での1日のスケジュールと体験して感じたこと に書いています。
あと、入園してすぐの頃に、家族写真を持ってきて、と言われました。
寂しくならないように壁に貼っておくね、と言ってました。
その他は、例えばクレヨンなどは幼稚園のものを使うみたいで、1年を通して、特に何も持って行かなかったです。
【体験記】NYの幼稚園ー3Kの大まかな年間スケジュールと行事 で書いたように、時々、パーティー用に何かを持って行くくらいでした。
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通い出してからのこと
ここからは、いざ通い出してから決めたことや分かったことについて、書こうと思います。
慣らし保育をするかしないか
上にも書きましたが、3Kに入るまでどこかに預けたこともなく、ベビーシッターすら頼んだことがなかったうちの子。
最初は、慣らし保育ということで、お昼頃に迎えに行くつもりでした。
入園前の手続きのときに「初めの1、2週間そうしてみたら」と話してくれたので。
ところが、入園当日に担任の先生と話をすると、早いお迎えはしなくてもいいよ、ということになりました。
まぁ大丈夫だから、とか、どうせなら早く慣れた方がいいよ、とかそんな感じだったような気がします。
そんなわけでいきなり初日から、約6時間半、幼稚園で過ごしてきました。
うちの子実は、3Kの初日には、
と素直にバイバイしてくれました。
って前もって話してあったからか、こちらが拍子抜けするくらい普通に「行ってきまーす」って。
だけど、いざ幼稚園で初日を過ごしてみて、みんな知らない言葉を話しているし、何より幼稚園では親と離れるんだ、と分かったようで。
次の日からは「行きたくなーーーい!!」となり、しばらくずっと、毎朝送って行くのがもう大変でした。
そんなふうに大変だったんですけど、初日、お昼に迎えに行っていたとしても、次の日に「行きたくなーーい」ってなったことに変わりなかっただろうと思って。
1週間くらい早めのお迎えをしたところで、幼稚園自体に全然慣れなかったのも変わりないと思うし。
そう考えると、初日から通常通り過ごしてもらえて、リズムを少しでも早くつかんでもらえて、まぁ慣らし保育なしでも良かったのかな、と今は思っています。
こんなふうに書いていて、思い出したんですが。
ほんとに最初の頃は、子どもを家から幼稚園まで抱きかかえて運んで行って、そのまま先生に抱っこで渡していたんです。
家の玄関から泣き叫ぶ状態で、靴も履いてもらえず、手で持っていって道の途中か幼稚園で履いてもらっていました。
何とか自分で歩いていけるようになってからも。
子どもが「バイバイしたくなーい!」ってどんなに泣き叫んでいても、先生から
って言われて、強制的にバイバイしたりして。
そんな時は、先生が両手におもちゃを持って、どっちにする?って聞いているのに対して、うちの子が「これー!」って日本語でw 泣き叫びながら返事をしているのを見ながら、ドアを閉めて。
切なかったです。
「気になるなら教室の外で少し待ってもらってもいいよ」と先生に言われて、泣くのが少しおさまるかなと廊下で待ったこともありました。
やっとちょっと慣れても、連休や春休みなどの休みの後には、こういうのがまたぶり返しちゃうんですよね。
あまりに行くのが嫌だというので、2回くらいズル休みしましたし。
そんなふうにいろいろありましたが、そのうち、
と言ってくれるようになって。
先生の言う通り、まぁ大丈夫で、なんとかなったので良かったです。
一週間のスケジュール
日本で幼稚園に子どもを通わせている友人からは、早く帰ってくる曜日があると聞いていましたが、そういうのは、うちの子の幼稚園はなかったです。
送っていくのもお迎えも、1週間毎日、同じ時間。
ということで、分かりやすかったです。
園での1日のスケジュールは、こちらの記事に書いています。
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こういうものはナシ!
ちなみに、先ほど書いた日本に住む友人からは、お弁当を持っていく日もあると聞いてましたが、うちの子どもの通う幼稚園では1日もありませんでした。
というわけで、毎日給食。分かりやすかったです。
*上で書いたように給食は無料です。
ないといえば、連絡帳も一切なかったです。← 横澤夏子さんのインスタで見て知りました。
連絡帳はありませんが、行きも帰りも、教室まで親も行くので、
などと、先生が話してくれたりしました。
伝えたいことや質問があれば、そんな時にこちらからも気軽に話せましたし。
クラスでどんなユーチューブを見ているのか教えて欲しい、というような内容は、メールでやりとりしました。
また、ないといえば、上で書いたように、特に3Kに持って行くものはありませんでした。
なので、持ち物への名前の記入も、着替えの洋服や行き帰りに着るジャケットにしたくらいでした。
あともう一つ、ないといえば。
クラスでの様子を先生が携帯で撮っていて、迎えに行ったときに時々見せてくれました。そして、うちの子だけが写っている写真は、時々メールで送ってくれました。
できればお友達と写っている写真なども欲しいなと思いましたが、やっぱりそういうのは無理みたいで、もらえなかったです。
ギフトカードで先生にお礼
クリスマス休暇前と年度末には、カードにギフトカードを添えて、担任の先生2人にお渡ししました。
文章などは適当です…。感謝の気持ちなどを書いてお渡ししました。
お渡ししたお値段は、友人に聞いたり、公立の学校の場合とネットで書かれている下のような記事を参考にして決めました。
$15 to $20 between $10 and $30 most public school teachers are not allowed to accept gifts worth more than $50
生徒と先生の数とスクールの規模
子どもの通った3Kのクラスの人数は、生徒が大体15人、先生は2人でした。
大体、と書いたのは、結構生徒の入れ替わりがあって、少し少なめの時も多めの時もある様子だったからです。
先生に聞いてみると、お誕生日がきて4歳になったら、上のクラスへ行く子が多かったみたい。
この幼稚園は、年度が始まって早々いろいろあったので、上のクラスの子の人数が少なくてそうしたのか、毎年そうしているのか、実はちょっとよく分かりませんが。
また、先生方は、思っていたより意外にお休みされることがありました。言っても、ほんと時々ですが。
そんな時は、違う先生が代わりにきてくれます。1年通っているうちに、私も代わりの先生とも馴染みになれました。
うちの子がクラスで直接見てもらった先生は、アシスタントの先生が途中で変わったのと、一度クラスを変えたので、合計5人でした。
また、うちの子が通ったのは、スクール全体で4クラスという小さい規模の学校でした。
だからなのか、他のクラスの先生方もうちの子の名前を覚えてくれていて。
名前を呼んで「また明日ねー」などと声をかけてくれることも多かったです。
全体的に、若い先生よりベテランっぽい先生の方が多かったかな。
関わってくれた先生方はみんないい先生で、それもありがたかったです。
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まとめ
この記事では、
- 3K入園前に不安だったこと
- 気になっていたこと
- 実際はどうだったのか
について書いてきました。
去年は、本当に無料で通えるのか、申し込みはどうやってするのか、など初歩的なことすら分かりませんでしたし、子どもは人に慣れていないし、言葉の問題もあるし、みんながそれなりに大変だったかなと思います。
(といっても、親の方の大変さは、子どもに比べれは大したことはないですが。)
それでも、こんなふうですが何とかなった、というのがこの記事を通して少しでも伝わればうれしく思います。
一年を振り返ってのまとめは、別の記事に書こうと思います。良かったらそちらもお読みください。